プロシード英和辞典の発音ワンポイント
我が家にある紙の英和辞典は「プロシード英和辞典」(1991年10月発行)だけだ。
Windowsの電子辞書では最近入れたATOK版の「ジーニアス英和辞典第5版」と、98時代の「Shogakukan Bookshelf Basic Version2.0」、それとタブレットのKindle Fire HDに入っている「プログレッシブ英和中辞典」がある。これらを発音に注目して比較してみると、プロシード英和辞典だけが「発音とアクセント発音とつづり字、発音の強形・弱形」などについて、[発音ワンポイント]欄を設けて、解説している。
この「プロシード英和辞典」だが、残念な事に今は発売されていないので、買えるとすれば古本としてだけである。それじゃ、発音の部分だけでも書き出せば"又姪"のみならず、私も「世界一わかりやすい英語の発音の授業」の肉付けになると考え、記事にすることにした。
[発音ワンポイント] rock'n'rollの謎ーandの発音の実際ー
Tulips and roses are my favorite flowers.チューリップとバラは私の好きな花です。[ t(j)ùːlipsənróUziz]
[d]が発音されるのはBetty and Anny[bètiəndǽni]のように次に母音がくる場合です。この場合でも[d]が脱落して、[bétiənǽni]と発音されることが多く,「ベティーアンナニー」と聞こえるでしょう.さらに,andが[t][d][l]や[k]などの音の後にくると[ən]が[n]になることが多いのです.
ロックンロールはrock and rollとつづりますが,発音は[rɑ`knrUl|rɔ`kn-]ー[ rɑ`kənróUl-|rɔ`kən-]ということもありますーとなるので、つづりが発音の影響を受けてrock'n'rollとなったのです.gold and silverも[ɡo`UldənsÍlvər]と発音されるのでgolden silverのように聞こえます.「金と銀」を「金(色)の銀」(?)と思い違いしないよう,要注意!!
また,andが強形[ænd]で発音されるのは,文頭にきたり前にコンマなどがあって切れるときや,強調したり対比したりするときです.
”How are you doing?"「調子はどうだい」
"Fine,thanks,And you?"「いいよ.で,君のほうはどうだい」
この場合はAnd you↗ [æn-djúː],[æn-dʒúː]となり,youは上昇形で発音します.
プロシード英和辞典p70より引用
このandは「世界一わかりやすい英語の発音の授業」のp123でも取り上げている。andの本当の発音 「アンド」じゃない!! 「ロックンロール」の「ン」の正体
日本人の耳にandが聞こえなかった例:ham and eggs:「ハムエッグ」、gin and tonic:「ジントニック」
[ə]の発音:口を半開きにし、声がこもった感じで、弱く短く「ア」と言う。(同著p41)
[æ]の発音:「ア」の口を作って、そのまま「エ」と言う。(同著p34)
と書いてあるが、「エ」と聞こえてはダメだと思う。日本語の「ア」より、口の開け方を少し小さくし、舌を「ア」より上顎に近づけて「ア」と発した音と思うが・・・
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国際音声記号(IPA)の母音
ここでYouTubeを利用して、母音の発音の練習をして見よう。
[ə]の位置は2分20秒くらい。 [æ]の位置は3分0秒と5分12秒くらいから。
実践的IPA 歌と合唱のための日本語・ラテン語・英語の発音の勉強
声楽から見たIPAの解説。ここでもYouTubeを利用します。
[æ]の発音は20分48秒あたり
[発音ワンポイント]ー-tudeとアクセントー
altitude 高度,gratitude 感謝
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強・弱・強のリズムで覚えましょう.
プロシード英和辞典p111より引用
-tudeで終わる単語例:
・altitude[ǽltət(j)ùːd|-tʃùːd, -tjùːd] 高度,海抜, 標高
・amplitude [ǽmplət(j)ùːd|-tʃùːd, -tjùːd] 大きさ, 強さ,振幅
・aptitude [ǽptət(j)ùːd|-tʃùːd, -tjùːd] 素質, 才能, 適性
・beatitude [biǽtətʃùːd, ((英+))-tjùːd] 至福,無上の喜び,祝福.
・exactitude [Iɡzǽktət(j)ùːd, eɡz-|-tʃùːd, -tjùːd] 正確さ, 精密さ,厳格さ
・lassitude [lǽsIt(j)ùːd|-tʃùːd, -tjùːd] だるさ, 脱力感
・latitude [lǽtət(j)ùːd|-Itʃùːd, -Itjùːd] 緯度
・longitude [lɑ´ːndʒət(j)ùːd, lɔ´ːn-|lɒ´ŋɡItʃùːd, lɒ´ndʒI-, -tjùːd] 経度
・magnitude [mǽɡnət(j)ùːd|-tʃùːd, -tjùːd] 規模,重要性
・rectitude [réktət(j)ùːd|-tʃùːd, -tjùː] 正直, 実直
・solitude [sɑ´ːlət(j)ùːd|sɒ´lətʃùːd, -tjùːd] 独居, 孤独 など
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[発音ワンポイント]ーcanの弱形・強形ー
Do it by yourself if you can[kæn]. やれるものなら自分でやってみな.
否定の省略形can'tは常に[kænt]と発音します.
I can't do that. 私にはそれはできません.
プロシード英和辞典p221より引用
●ジーニアス英和辞典第5版より引用
/ ((弱))kn, kən(( / k / , / ɡ / の前で))kŋ, ((強))kǽn, ((米+))kén, ((非標準))kÍn /
《◆((弱))は ask のように母音で始まる語の前では / kən / ;((英))では文頭で / kǽn / ともするがわずかに堅い言い方》
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[発音ワンポイント]ーcと[s][k]ー
(2) (1)以外ではすべて[k]になります.car 車,cold 寒い,color 色,ctitic 批評家 ですからcancelは[kǽnsl]になります.
プロシード英和辞典p243より引用
・central [séntrəl] 中央にある,主要な
・city [sÍti] 都市,都会、市
・cycle [sáIkl] 周期、循環、行程
・car [kɑ´ːr] 車、自動車
・cold [kóUld, ((米+))kóUwəld] 寒い,冷たい
・color [kʌ´lər] 色、色彩、色調
・critic [krÍtIk] 批評家,評論家
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[発音ワンポイント]ーchの3つの発音ー
[tʃ]はchance 偶然,check 阻止する,child 子供,choice 選択,church 協会,rich 富んだ
[k]はcharacter 性格,chemistry 化学,chorus 合唱,Christmas クリスマス,stomach 胃
[ʃ]はmachine 機械,mustache ほおひげ
プロシード英和辞典p249より引用
●machine[məʃíːn]の発音
[íː]は子供がやる「イーっだ」の「イ」、下品な笑いの「イッヒッヒ」の「イ」、日本語のチーズとは音色が違う。写真を撮るとき「チーズ」より、「イッヒッヒ」と笑って、もらった方が歯が良く見える。
●cheese[tʃíːz]の発音
※音声は小学館ブックシェルフ英和辞典とジーニアス英和辞典よりコピー。
※「世界一わかりやすい英語の発音の授業」p54には[i:]の発音練習がある。
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-ageousとアクセント
advantageous 有利な,outrageous 乱暴な
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プロシード英和辞典p343より引用
・courageous:[kəréIdʒəs] 勇気[度胸]のある, 勇ましい,精神力の強い
・advantageous:[æ`dvəntéIdʒəs, ((米+))-væn-] 有利な, 都合のよい
・outrageous:[əutréIdʒəs] ひどい, あきれた,突飛な
・rampageous:[ræmpéidʒəs] 激しい、猛烈な
[発音ワンポイント]ーeaと[e][iː][eI]の3つの発音ー
bread パン,head 頭,health 健康,heavy 重い,ready 用意のできた などの少数を除いてほとんど[iː]と発音します.
例:beat 打つ,leaf 葉,team チーム
しかし,readは原形・現在形では[iː],過去・過去分詞では[e]となりますし,leadは「導く」の意では[iː],「鉛」の意では[e]となります.
例外中の例外ではご存知break(壊す)の[eI]です.
プロシード英和辞典p379より引用
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イギリス人教師はカナダ人?ー複合語のアクセントー
(1)「名詞+名詞」では通例初めの名詞のほうが強く発音されます.
báth tòwel バスタオル, róad màp 道路地図
(2)「形容詞+名詞」では通例後の名詞のほうが強く発音されます.
dòuble chín 二重あご,Nèw Yórk ニューヨーク
(2)の場合,元の意味から独立した名詞になると,ー1語となった場合を含めてーアクセントの位置が変わり,形容詞の部分に強勢が置かれることがあります.
blàck bóard 黒い板 ↔ bláckbòard 黒板
dàrk róom 暗い部屋 ↔ dárkròom 暗室
hòt pláte 熱い皿 ↔ hótplàte ホットプレート
また3語が連なると、例えば an old stamp collectorでは
an òld stàmp collléctor 古切手収集家
an òld stámp collèctor 年老いた切手収集家 のようにやはり意味が変わるのです.
さて,English teacher は
Énglish tèacher なら「英語の教師」
Ènglish téacher なら「イギリス人教師」の意味にとられるのが普通です.ですから
Our English teacher is Canadian. は Ènglish téacher と発音すると
「私たちのイギリス人教師はカナダ人です」!? などということになりかねません.
もちろん文脈でわかってもらえるはずですが,誤解のないように言うにこしたことはありません.
たかがアクセント,されどアクセントです.
プロシード英和辞典p489より引用
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Xと[ks][gz]
explain [IkspléIn] 説明する.
exercise [éksərsàIz] 運動(させる).
(2)次に強勢のある母音が来ると[ɡz]となります.
example [Iɡzǽmpl | -zɑ´ːm-] 例
ただし,exhaust [Iɡzɔ´ːst] などはhがあっても発音されないので[ɡz]と濁ります.ご用心!!
プロシード英和辞典p515より引用
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-teenとアクセント
thirteen13(の),seventeen17(の)
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しかし,このような語末にアクセントのある語は次に語頭にアクセントのある名詞が来ると,アクセント移動を起こすのです.これは強い音どうしが前後すると発音しにくいためでもあります.
fifteen students 15人の学生●●●●
ただし,学生に重点があるのではなく「15」という数を強調するときは発音表記どおりです.fifteen students 「15人」の学生
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このとき,[fIftíːn st(j)u`ːd(ə)nts] の[í]のほうが,[fÌftíːn st(j)úːd(ə)nts]よりも,同じ長音でも,アクセントがあるので長く発音されます.こうした発音の機微に慣れることが「らしさ」に通じる道です.プロシード英和辞典p557より引用
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つづく
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